顎関節症と咬合の診断

顎関節症は自分で簡単に診断できます。口を開けた時、閉じた時のどちらかでも音が出る(かっくん、がさがさなど)、痛みがある、大きく口が開けられない又は閉じない等、以上の症状に一つでも当てはまればあなたは顎関節症です。

治療の前に診断と原因をつきとめることが必要です。原因は噛み合わせ、歯ぎしりや喰いしばり、外傷、頚椎の歪みや心理的影響によっても起こります。状態は顔の筋肉痛から顎関節の炎症、関節の中のお皿(関節円板)の転位、関節の変形まで様々で経過が長いほど悪くなっている事が多いです。

治療はマニュピレーションといって顎に力を加える方法やスプリント(マウスピース)を夜間睡眠時に装着する方法、薬を使用する方法、カウンセリングや整体などの理学療法など様々です。スプリントは幾つか種類があって病態や症状により使い分けます。

顎関節症といって皆が治療するかというとそうではありません。一般に治療対象となるのは痛みがある、極端に口が開かない、閉じないなど、一般歯科治療で歯に被せ物や詰め物、入れ歯の装着、インプラントや矯正終了後に噛み合わせの不具合や顎の症状を訴える場合があります。

噛み合わせ

噛み合わせは物を噛む事は勿論 体の調子にも影響します。しっかりものが噛めないと、噛む回数が増え噛みきれていないのに飲み込んでしまったり噛むのに疲れてしまったりと 胃腸系や筋肉に負担をかけてしまいます。また噛み合わせは体のバランスにも影響し 体の変調をきたすこともあります。歯並びが良いのと噛み合わせが良いのは違います。歯並びが良くても顎に負担がかかりやすい噛み合わせはあります。

咬み合せは3つの要素からなります

上下の歯の噛み合わせ、顎関節、口を開閉口する筋肉、この3つ全てが機能して良い噛み合わせとなります。上下の歯の噛み合わせだけを治療して良くなるケースもありますが中には良くならないケースもあります。

それは顎関節や筋肉に問題がある場合で、顎関節からみた上下の噛み合わせを考えないと治りません。
噛み合わせが安定すると、噛みやすい、疲れない、肩こりや頭痛の減少、顎関節症の改善、歯周病の改善や予防、発音、体の不調の改善にも繋がります。

当医院の治療内容※予約制です。

顎関節に問題がない場合

上下の歯の噛み合せの治療を顎関節を見ながら行います。

顎関節に問題がある場合

顎関節治療の前に噛み合せの状態を調べます。
(その状態は顎関節が悪い状態ですので調整は行いません)

顎関節に問題があれば顎関節治療を行い、安定するまで待ちます。
(治療内容は顎関節治療の欄を参照して下さい)

顎関節が安定すると再度噛み合せの評価を行い どこが悪いのかが判明しますので その問題を解決するために治療計画をたて噛み合わせ治療を行います。

噛み合せの評価

上下の歯の噛み合わせと顎の状態にズレがあるかどうか(ドーソン法で調べます)
顎が前後左右スムースに動けるか、特定の歯が強く接触していないか、当たってはいけない所が当たっていないか、顎に負担がかかる噛み合わせになっていないか等を確認します。

咬合とは

一般的には噛み合わせという言葉に馴染みがあるかもしれません。上下の歯と歯が噛み合う事で食物を咀嚼(そしゃく)することができます。噛みあわせが悪いとうまく噛めない、顎関節症、体の歪み、発音障害など日常生活に多大な影響があります。

噛み合わせを診断する時、お口の中だけ見てもそれは不十分です。噛み合わせは上下の歯の噛み合わせと顎関節、筋肉(咀嚼筋や周辺の筋肉)との調和が必要だからです。噛み合わせの元は顎関節にありますから顎関節から噛み合わせを診断する必要があります。入れた修復物が合わない、入れ歯が安定しないのは噛み合わせに原因がある可能性があります。当医院では定期健診では虫歯や歯周病の検査だけではなく顎関節や噛み合わせのチェックを合わせて行っております。

噛み合わせの治療はもし顎関節に問題がある場合は直ぐに噛み合わせの治療は行いません。噛み合わせの元が顎関節にありますので、まずは顎関節を治療しながら噛み合わせを診ていく事になります。顎関節の治療を進めていく中で噛み合わせの変化が起こる事があります。

もしかするとあなたの噛み合わせは治療が必要かもしれません。具体的には顎関節治療、今入っている修復物を除去して仮の歯を入れ調整していく方法です。噛み合わせが悪い人は顎関節症になっている事が多く、その場合顎位といって本来の顎の位置からずれている事があります。
その場合上記の処置でズレを治していきますので少し時間がかかることがあります。顎位が安定した噛み合わせは咀嚼も楽ですし顎や体の安定にも繋がります。心配であれば相談して下さい。

咬合の診査

当院では、ドーソン法による診査を行っております。ドーソン法は顎の位置(顎位)を中心にした噛み合わせ(咬合)をチェックする方法です。
一般に咬合を診る時上下の歯の咬合を中心としてチェックしていきます。
ドーソン法は顎から噛み合わせを診る為、咬合の概念が上下の歯だけを診るのとは異なります。上下の咬合だけを診て問題がないとされた場合でも顎から咬合を診た場合、問題がみつかる事もあります。
また、その時はドーソン法でも問題がないとされていても顎の治療が進むにつれ、見えていなかった咬合の不具合がドーソン法にて見つかる事もあります。
修復物が入った後、矯正治療が終了後に咬合に違和感がある時はドーソン法によるチェックをお薦めします。

写真(1)では正常に見える噛み合わせでもドーソン方法を使うと右の様に噛み合わずズレているのが分かります。

写真(1)

顎関節治療により顎位が変わり噛み合わせが変わることがあります。
写真(2)は処置前で上下の前歯がすいている状態ですが処置後右の写真の様に当たるようになりました。

写真(2)
処置前
処置前
処置後
処置後

顎関節治療により顎位が変わり改善された咬合

修復物(クラウンブリッジ)

保険適用と適用外があります。保険診療内でも全顎治療は可能です。
保険適用は一般に前歯は表面を白くする事が可能ですが、奥歯は金属(銀歯)になります。
適用外は全て歯と同じ白い材質で作る事が可能です。それ以外では、金を多く使用した白金加金というものもあります。白金加金は見た目は金属ですが歯との相性がよく一番安定します。

保険適用外で歯と同じ白い修復物を装着するには、ハイブリッドレジンというプラスチックに似た材質とセラミクスという陶材の2種類があり、保険内はレジンという材質になります(前歯のみ適用となります)。


クラウン ブリッジ(保険適用内の修復物)

レジンは金属の上に接合させて作製します。特徴は見た目は綺麗でセラミクスに比べ安く修理がしやすい事です。欠点は水分を吸う性質から色の変化があること、他の材質に比べ摩耗しやすい等が挙げられます。しかし、最近は以前より摩耗しないものがあります。


オールセラミックス(保険適用外の修復物)

術前
術前
術後
術後

オールセラミックス

セラミクスは金属の上にセラミクスを焼き付けたメタルボンドクラウンと金属を使用しないオールセラミクスがあります。特徴はメタルボンドには耐久性があり見た目もレジンより綺麗で色の変化は起きません。硬く磨耗する事はほとんどなく、長いブリッジにも適応できます。欠点は硬すぎるため咬合のチェックが必要ですし、一部が欠ける事もあります。


全顎治療(保険適用外の修復物)

術前
術前
術後
術後

全顎治療

また、オールセラミックスは審美的に特に優れており、金属を一切使用していないので金属アレルギーの方にも適しています。さらに歯肉とも馴染みがよく修復物周辺の歯肉を健康に保つことができます。